2025年8月、BRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)を中心とした新興国連合が、世界経済の重心を揺るがす動きを見せています。特に「脱ドル化」「資源連携」「共通通貨構想」などの戦略が加速し、日本を含む先進国にとって無視できない地政学的・経済的インパクトをもたらしています。

この記事では、2025年8月時点のBRICSの最新動向を整理し、それが日本にどのような影響を及ぼすのかを分析します。


🌍 BRICSとは?2025年の拡大と新体制

BRICSはもともと5カ国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)で構成されていましたが、2025年には以下の5カ国が正式加盟し、10カ国体制へと移行しました。

  • イラン
  • エジプト
  • アラブ首長国連邦(UAE)
  • エチオピア
  • インドネシア

さらに、ベラルーシ、マレーシア、ナイジェリアなど9カ国が「パートナー国」として協力関係を結んでおり、BRICS+としての影響力は拡大の一途をたどっています。


💱 脱ドル化とBRICS共通通貨構想の進展

2025年8月のリオデジャネイロ会合では、ドル依存からの脱却を目指す議論が活発化しました。特に注目されたのは以下の2点です:

  • BRICS PAY:加盟国間の貿易を自国通貨で決済する仕組みの整備
  • 共通通貨構想(BRICSコイン):制度設計は未定ながら、越境決済の相互運用性を高める方向性が確認された

この動きは、2022年のロシア制裁によるドル資産凍結を契機に加速しており、今後の国際金融秩序に大きな影響を与える可能性があります。


🔋 資源連携で強まるBRICSの交渉力

BRICS+諸国は、資源・エネルギー分野で圧倒的な強みを持っています:

資源カテゴリ 主な国 特徴
石油・天然ガス ロシア、イラン、UAE 価格決定力と供給網の支配
レアメタル 中国、ブラジル、南ア、インドネシア EV・再エネ技術に不可欠
再生可能エネルギー 中国、ブラジル、エチオピア 太陽光・水力・ダム開発が進展

このような資源連携は、価格交渉や供給制御を通じて、世界市場に対する影響力を強めています。


📉 日本への影響:通貨・資源・外交の三重圧力

BRICSの動きは、日本に以下のような影響を及ぼすと考えられます。

1. 為替市場への圧力

BRICS諸国がドル以外の通貨で貿易を進めることで、円の国際的地位が相対的に低下する可能性があります。特にインドが2025年に名目GDPで日本を抜き、世界第4位の経済大国となったことは象徴的です。

2. 資源価格の変動リスク

資源供給国が連携することで、原材料価格の高騰や供給不安定化が懸念されます。日本の製造業やエネルギー政策にとっては、安定調達のリスク管理が一層重要になります。

3. 外交的立ち位置の再構築

BRICSがG7に対抗する地政学的勢力として台頭する中、日本は経済連携の再構築を迫られています。2025年8月にはEUとの「競争力アライアンス」構想が発表され、米国との関税交渉も進展しましたが、BRICSとの関係構築は依然課題です。


📊 日本経済の見通しと対応策

三菱総合研究所のレポートによると、2025年の日本の実質GDP成長率は前年比+0.6%と予測されています。関税影響による輸出減速はあるものの、以下の要因が下支えとなっています:

  • 供給網強靱化とDX・GX投資の継続
  • 賃上げによる個人消費の底堅さ
  • EUとの経済連携強化

とはいえ、BRICSの動向に対しては、資源外交・通貨戦略・技術連携の三位一体で対応する必要があります。


📝 まとめ:BRICSの台頭は「静かな地殻変動」

2025年8月のBRICSの動きは、単なる新興国の連携ではなく、国際秩序の再編成を予感させるものでした。日本にとっては、これを脅威と見るか、機会と捉えるかが分かれ道です。

今後は、BRICSとの経済協力の可能性を探ると同時に、資源・通貨・技術の分野で自律性と競争力を高める戦略的対応が求められます。


🔗 参考文献