なぜ韓国の大統領は拘束されたのか?:時系列で探る
韓国の大統領が拘束されるというニュースは、国内外で大きな注目を集めます。この記事では、韓国の大統領が拘束された理由を時系列で探り、過去の類似事例についても言及します。
1. 尹錫悦大統領の拘束までの経緯
2024年12月3日、韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は突然「非常戒厳令」を発令しました。この戒厳令は、国会議事堂周辺に軍隊が展開されるなど、社会全体に大きな衝撃を与えました¹。
12月3日: 非常戒厳令の発令
- 午後10時30分: 尹大統領が緊急談話を通じて「非常戒厳令」を宣布。
- 午後10時40分: 軍が国会議事堂に突入を試み、周辺には戦車を含む軍隊が出動。
- 午後11時: 国会議事堂前には市民が集まり始め、抗議の声を上げる。
12月4日: 戒厳令の解除
- 午前1時: 国会が「戒厳令解除要求案」を可決。
- 午前4時30分: 尹大統領が戒厳令の解除を発表。
12月5日以降: 弾劾訴追案の提出
- 12月5日: 野党6党が尹大統領に対する弾劾訴追案を国会に提出。
- 12月8日: 検察が尹大統領を内乱陰謀や職権乱用の疑いで捜査開始²。
- 12月14日: 国会が弾劾訴追案を賛成多数で可決。
2. 拘束の理由
尹錫悦大統領が拘束された主な理由は、内乱陰謀や職権乱用の疑いです。非常戒厳令の発令が違法であり、軍や警察を私的な政治目的のために動員したとされています³。
内乱陰謀罪
内乱陰謀罪は、国家の安定を著しく揺るがす行為に適用される罪です。韓国刑法第87条に規定されており、最高刑は死刑または無期懲役です⁴。
職権乱用罪
職権乱用罪は、公務員が権限を悪用して不正行為を行った場合に適用される罪です。韓国刑法第123条に基づき、最高で5年の懲役または10年以下の公務禁止が科されます⁵。
3. 過去の類似事例
韓国では、過去にも大統領が拘束された事例があります。以下に代表的な事例を紹介します。
全斗煥元大統領
全斗煥(チョン・ドファン)元大統領は、1980年の光州事件で内乱首謀罪に問われ、1996年に死刑判決を受けました。その後、控訴審で無期懲役に減刑され、最終的に恩赦により釈放されました⁶。
盧泰愚元大統領
盧泰愚(ノ・テウ)元大統領も、全斗煥氏と同様に内乱首謀罪で起訴され、懲役17年を言い渡されました。彼も恩赦で釈放されています。
朴槿恵元大統領
朴槿恵(パク・クネ)元大統領は、国政介入事件や職権乱用、収賄などで懲役22年が確定しましたが、2021年に恩赦を受け釈放されています。
4. 韓国の大統領と司法制度
韓国の大統領は、退任後に罪に問われることが少なくありません。これは、韓国の司法制度が厳格であり、法の下の平等を重視しているためです。
歴代大統領の末路
韓国の歴代大統領の多くは、退任後に逮捕や裁判を経験しています。以下にその例を挙げます。
- 李承晩(イ・スンマン): 不正選挙を行い、革命で失脚後にハワイ亡命。
- 朴正煕(パク・チョンヒ): 側近により暗殺。
- 金泳三(キム・ヨンサム): 次男が収賄と脱税で逮捕。
- 盧武鉉(ノ・ムヒョン): 親族の逮捕や本人への捜査が及び自殺。
5. まとめ
尹錫悦大統領が拘束された理由は、内乱陰謀や職権乱用の疑いによるものであり、非常戒厳令の発令が違法とされたためです。過去にも韓国の大統領が拘束された事例があり、韓国の司法制度が厳格であることが背景にあります。今後の展開に注目が集まります。
²: [韓国で発令された戒厳令の時系列]
⁴: [韓国刑法第87条]
⁵: [韓国刑法第123条]